イギリス(1970年頃)
初めてのヨーロッパだ。
羽田で万歳三唱に送られた。
カミサンが長女を負ぶって羽田まで来ていた。
そんな時代だった。
どのようなルートでイギリスへ入ったか覚えていないが、
ロンドン空港から迎えの車でケント州の小さな街へ。
ドーバーに近く、カンタベリー寺院が直ぐ傍だった。
まず、街の綺麗さに驚かされる。
塵一つ落ちていない。
其処に二週間滞在したが、
毎日レポートを書き終わると午前二時。
そんな中で一日の休日を取ってロンドンへ出た。
我武者羅にロンドンを歩く。
公園の多さ、緑の多さに流石イギリスと感心したものだ。
ウエストミンスター寺院の内部の豪華さ荘厳さ、
ステンドグラスの美しさに絶句。
ウエストミンスター寺院の近くのテイトギャラリー、
この美術館は生涯で一番印象の深かった一つだ。
ピカソのこの絵を見た時、ピカソを見直した。
今でもピカソはこの時代のものが好きだ。
パリ。
この写真はパリの何処かだと思うが思い出せない。
飛び込んだルーブル。
ミロのヴィーナスの前で呆然と立ちすくむ。
当時の「モナリザ」、
何の特別扱いも無く他の陳列品と同格に無造作に飾られていた。
写真撮影も自由だったのが嘘のようだ。
その後、三回目にルーブルを訪れた時、
頑丈な囲いの中に窮屈そうに収まったモナリザの前は人の群れだった。
凱旋門の前のカフェからのシャンゼリゼの夜景に酔う。
モンマルトルにも登ったようだが全く記憶が無い。
パリで雇った通訳君、医学の留学生だったが、
彼に生蛎をご馳走した時、
舐めるように食べ漁った彼の食べ方が印象に残っている。
アムス。
当時の写真はこの位しか残っていない。
まだ、カラー写真は一般的でなく、
現像所に勤めていた友人から
映画用フィルムを譲ってもらってパトロネに巻き込んで撮ったような気がする。
現像も彼に依頼したような。
そんなわけで撮影枚数をケチったのかもしれない。
アムステルダム美術館?
レンブラントの重い暗さはしっかりと脳裏に刻んだ。
完
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