バンコク記 5

カオサン記(3)

夜のカオサン通り。


どのカフェも人で溢れ、テーブルが車道まではみ出す。



その車道の両側には、
焼鳥、果物、ハンバーガー、ヤキソバ、卵焼き、等々の露店が立ち並ぶ、

何かおかしげ?と良く見ると、イナゴとサソリの佃煮のようなもの。





上半身裸で身体中刺青の男が串焼きを貪り食べながら闊歩、
連れの女ももろ肌に色鮮やかな刺青。
大体がTシャツに半ズボン姿、
女性は殆どタンクトップか背中丸だし姿が多い。

坊主頭、変形刈、アフリカ風に細かく編んだ髪、
おっと、女性の坊主頭もいるぞ。

向こうから顎髭に何か飾りをぶら提げた男がやってきた。



 

一寸歩くと、物乞い、刺青、揉め事にぶち当たる。
世界中の人種が集まっているのではないだろうか、
圧倒的に白人が多いが、
アラブ系、アフリカ系、印度系、東洋人も混じる。
道端で座り込んで輪になっているグループ、

屋台から持ち込んだ焼鳥を咥え、喇叭飲みだ。

しかめっ面の日本青年もウロウロしている。
若者が95%、ネクタイ姿は全く無い。

皆、自由と平和を謳歌している。





カフェから、
ビートの効いた音楽がこれ以上無い位の高いボリュームで通りにコダマする。

幾つもあるカフェのそれぞれからこの音がが響き渡るのだが、
不思議と不調和感はない。

更にけたたましい爆音をあげるバイク、トクトク、
そして、お喋り、嬌声、怒声、それと光だ。

ラスベガスなどとはほど遠いいネオンや照明だから、陰の部分が多い。

その陰が重要な役割をしている、光と影、それが程よいスピードで動く。
時折、大粒の雨が猛烈な勢いで舗道を叩き付け、
7色の色彩を伴って散りばめる。


 

音と光と影、それと時間が混然としながら独特なカオサンの雰囲気を醸し出す。


勿論、これ以上の真面目はないといった風の、
身なり、顔つき、目つきの若者達もうろついている。
白人、日本人、女性も、男性も。
彼らが好奇心一杯のまなこを見開いて恐る恐る歩く姿が微笑ましい。

約半分はこの種の若者達だ。





清掃車が動き出した。
2時を過ぎると、通りにはみ出したテーブルや椅子を片づけ始める。

つづく