残念バンコク記8

宿から地下鉄で一駅の駅の近くに「カムティエン夫人の家」がある。
以前に二回ほど訪れたが改築整備中で中を見る事が出来なかった。

160年ほど前に建てられ、
王族の系列のカムティエン夫人が実際に生活していた家と言う。
カムティエン夫人に関してはどのような人か判らない
元々チェンマイに有ったものを3,40年前に当地に移築されたらしい。
その後も更に整備され、今日に至る。

当時の素朴な北タイの生活様式が丁寧に再現され,
北タイに住む少数民族の生活用具なども展示されている、
静かな博物館でもある。

高床式の建物自体に伝統的なタイの生活がうかがえる。





床下には狩猟器具、農機具など。







昔ながらの機織機も。
以前、中国の雲南、タイ族の多く住むシーサンパンナで、
似たような織物を収集した記憶がある。
同じタイ族の伝統なのだろう。





二階に上がると、台所、寝室。



もっとも大きな面積を占めているのは日本で言う仏間だろうか。

手織りの織物、木彫りの彫物、伝統的な楽器、等が並ぶ。













左が本館の二階、右が別館に通じる通路。





この屋根は何葺きなのだろうか。
建物全体はチーク材と聞いているが、
この屋根の板の様な材料は何だろうか。
別館には山岳民族の遺物、や生活用品。





仏像が部屋の中心に据わっている。
山岳民族も仏教信奉なのだろうか。

















邸内に静かなコーヒーショップがある。
また足を運びたくなる雰囲気だ。
高床住宅の一階部分を古いタイの雰囲気を保ちながらも近代的な装い、
学生風の女の子がレポートらしきものの作成に余念が無い。
近くに住んでる人にとっての貴重な安らぎの場と成ってるに違いない。
バンコクと言えば喧騒、そんな喧騒の一寸した一角にこんな店がある。
「誰にも内緒の憩いの場」
そんな感じだ。




歌劇「リゴレット」。
たまたまベルギーの○○歌劇団の公演を観劇した。
立派な劇場に紳士淑女が集まってくる。
これもたまたまだが、
席は二階の貴賓席の真後ろ、
王様のお姉さまと言うお方がしずしずとご来場になり真ん前の席につく、
場内の全ての方々が立ち上がって拍手をもってお出迎えだ。



ラードンナモビレ、ハヤクシロベントー・・・
学生寮で腹をすかした連中の合唱が想いを過ぎる。
こんなところでリゴレットを聞けるとは思わなかった。
閉幕すると暫く拍手が鳴り止まない。
出演者がもう一度壇上に整列し深く頭を垂れる。

さあ、帰ろうとすると扉の前で係員が両手を広げて突き出す。
貴賓がお帰りになるまで一般客は足止めなのだ。


バンコクを離れる前夜、
やたら鮪、それもトロが食べたくなった。
大好物のトロ、
最近は行き付けの寿司屋で食べるのがトロだけというのが多くなった。
さあ、バンコクのトロはどんなものか。
日本街の寿司屋に入る。
トロを注文。
出て来たトロ、一応格好は出来ているが一瞥で味が読み取れた。



食べてみるまでもない、
バンコクのトロはこんな物なのだ。
二度とバンコクではトロを食べないことを心に刻む。
値段も赤味の鮪の10倍だったのが癪の種だ。

ま、なんだかんだ言いながらポルトガル行きを断念しての、
無念残念極まりない時をなんやかんやと補ってくれたバンコクに感謝しよう。