タイ・カンボジャ記4


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朝7時、ドンドンドン、ドアが乱暴に叩かられる。
「おい、朝飯食いに行くぞ」
彼の後を寝惚け眼で付いて行く。
広いマーケット、網の目のように細い路地が繋がっている。
同じ道を二度と行けないだろう、迷路だ。





野菜、魚、肉、果物などの食料品から、日用雑貨、
電気機器、衣類・・・まあ、何でもある。
奥まったところに、食堂が立ち並ぶ。
その中の一つの椅子に並んで腰を下ろす。
二間四方位の二方向に客が坐る。
一方向が調理場になっている。
真ん中に親父さんが陣取り、さしずめ、
日本でよく見る寿司屋の親父のように、
威勢のいい掛け声と派手な身振りでいろいろな物を作る。
黙って坐った我々の前にイエロウラーメンがすっと置かれる。
黙って坐ればいいのだそうだ。
シアヌークビルに通い始めて8年の年期がものを言う。
8年間で探し当てたのがこの店、湯で加減が抜群なのだそうだ。
それも、何時来ても変わらない湯で加減なのだそうだ。
確かに美味しい。
しかし、蝿がブンブン飛んでる中だ。
それでも、その後、三日に一度は此処に朝食を食べに来る事になる。

彼が毎日巡るルートでマーケットを見て廻る。
中国系の可愛いお嬢さんの居る小間物屋もお馴染みのようだ。





上のお姉さんは午後からは中国語の先生とか、キリリと知性派だ。
上のお姉さんの写真の右側に詰まれている紙束は紙幣を印刷したもの、
何に使うのか疑問だったが、後で判った。
お正月に、この紙幣を燃やし神様を呼ぶと神様がお金を増やしてくれるのだそうだ。
日本で言う迎え火だ。
旧正月が近い。
このお店もそうだが中国系の人々はそろそろお正月の準備に入る。

魚の売り場、大小の魚が並ぶ。

















海魚、河魚、種類が多い。
烏賊も親指くらいのから両手を広げたくらいのまである。
海老、蟹もそうだ。

この魚を毎日点検して刺身になりそうなものを買う、
これがSの日課の一つだ。



夕方からSの手作りの縞鯵の刺身で月を眺めながら乾杯、



美味い。
この調子だと、一日に生の中ジョッキ6杯は下らない。


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目を覚ます、3時前だ。
自然の楽園に居るような動物達の声なのだが、
鴇を突く鶏、餌を求めて呻き叫ぶ豚、鳩、何かの鳥、
余りの凄まじしさは楽園とは程遠い。
その内に人間の声が交じり、音楽も聞こえ出す。
三階の部屋から下を覗くと、もう生活が始まっているのだ。







やがて、朝日が差し込む。

適当なインターネットカフェが見付からない。
日本語が着込めないのと、応答が非常に遅いのだ。

ガスコンロ、電気ポット、フライパン、鍋、皿等を買い込む。 
白人向けのスーパー、大抵の物は此処で手に入る。
日本語で書かれら御菓子類は有るが、納豆の様な純日本風の惣菜はない。
マーケットで野菜を買い込んでカレーライスだ。
日本から持ち込んだ日本米を炊く。


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朝、昨夜の残りご飯でチャーハンを作る途中で味塩の小瓶を落として割ってしまった、
塩なしチャーハンだ。
お昼は、これも持ち込みのインスタントラーメン、
マーケットの汚い店のイエロウラーメンの方がずっと美味しい。
持ち込み、と言っても事前に日本から送ったものだ。
日本のスーパーで買い込んだ食糧は約8000円、
送料が12000円くらいだ。

中国での自炊生活を参考にして品物を選んだが、
お国の違いと、時の移り変わりで、
殆ど手を付けない物もあった、趣向の変化も有ったかも知れない。

午後、生一杯飲んでマッサージ。
時代は忘れたが、大分昔に或る日本人が広めた方法との事だ。
指圧と按摩の良いところを取り合わせた感じ、
非常に快適だ、揉み返しを心配したが全く無い。
非常に盛況で、時間的には予約しないと駄目なのだ。

続く

   





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