タイ・カンボジャ記9

2/13
オーチティルビーチの西の端から東の端まで歩く。
西側は人が多い、白人が殆どだ。
西の端は寝椅子の権利がビール1缶2$、
東の端だと半$だ。

東の端でも、ベッド式の寝椅子は1$が常識、
これを3000リエルにまけさせる。



今日のお姐さんはアンコールワットの何処かで見たデバータの顔付きだ、
話も判る。

今日は夕日を見て帰りたくなった。
どっかりと腰を下ろす。
やがて、日が傾き始める。


























2/14
Sがメジマグロの刺身を作る。
これにつれられてお昼から飲み出す。
買物して、また、カレーライスだ。

2/15
朝一番でマッサージして、その足でビーチ。
いつものように、寝椅子を確保して、
ビ−ル飲んで、昼寝して、物売りの女の子と遊んで、
また昼寝して・・・・

夕方、例のレストラン、
彼女達は薄化粧をしているようだ。







一人の女の子がSに封書を渡す。
字は読めないが、赤っぽいのでお目出度い物の様だ。
一番お節介な子が一生懸命説明する。
どうやら、結婚式の招待状らしい。
これには流石のSも驚いている。
「8年通って来て始めてだ」
絶大な信用が有るようだ。
ポツリポツリ話してくれた。
或る時、今回結婚する子も含めて三人の女の子が解雇される事になった。
それを知ったSが此処のママと掛け合って、
どのように説得したのか知らないが。
解雇されずに済んだ、そんな事も有ったらしい。
解雇を申請したのは此処の主任の女性で、
毎日、店に居るがSの所には絶対寄って来ない。
Sも彼女には見向きもしない。

そのママさん、無愛想だが人柄は良い。



何と言ってもこの店のオーナーだ。



時々顔を見せる優しそうだが眼光の厳しいお婆ちゃん、
彼女がこの店を含めた幾つかの事業の総帥なのだ。
毎晩顔を出してビールを何杯か飲んで、
ふっと戻ってゆくのが総帥のご主人、
彼に言わせると、
「種馬」
だそうだ。
もう一人の種馬が居る、ママさんのご主人、
彼も毎晩来てしかめっ面をして、せいぜい、
乞食の子供達を追い払うくらいの事しかしない。
彼らには三人の子供が居る。
一番上の子は中学生、
毎晩、ピカピカの黄色いバイクで遊びに来る。
弟は小学低学年、
彼は店の前の広場で無線自動車を動かしている。
兎も角、種馬の任務は全うしているのだ。
要するに、典型的な母系家族だ。

両替する。
此処は例の総帥が経営する。
総帥の姪が仕切っている。
未だうら若い女の子だが目は鋭い。
両替して数えた事が無いが、
50$をリエルに換えると堆い。
それだけでいい気分になる。

2/16
バルコニーで飲んでると奥の部屋に逗留している40前後の男が顔を出した。
初めは遠慮がちだったが、話し始めると止まらない、また、その話が面白いのだ。
彼はバリ島で3年間ラーメン屋をやってたそうだ。
どおりでアジアを熟知している。
良く聞いてみると祖先が華僑だったそうだ。
それも半端ではない、江戸時代に前田藩に仕えたそうだ。
華僑の基本的な考え方、精神、思想、
具体的には忘れたが、成る程、と納得させられた。
何代目かは知らないが脈々と華僑の精神が連なっているのだ。
彼は次の事業の為のリサーチをやっているのだ。

2/17
今日もバルコニーでビール飲んでいるとお呼びが掛かった。
「今からお正月のお祝いを始めるから参加してくれ」
とのことだ。
そうだ、今日から旧正月だ。

御呼ばれに駆け付けると、
仏像の入った神棚?がデンと正面にあり、
その前にご馳走がここぞとばかりに並べられている。



その周囲に、
一族郎党が何時に無く緊張した面持ちで威儀を正している。





オーナーの音頭で乾杯、
ジョニクロをコーラで割ったもので乾杯だ。



オーナーから家族、、使用人、子供達、一族郎党全部の一人一人にお年玉が手渡され、
その都度、パチパチと拍手が湧き上がる。



見ていると渡しているお金はそんなに少額ではない。
日本で言うボーナスなのだろう。
あとは無礼講となる。







オーナーが何か言うと子供が供え物を抱えて駆け出した。
100$紙幣が風に飛ぶ。





玄関で迎え火だ。
100$とかの紙幣は、あの小間物屋で見た印刷物だ。
お金も含め、何か欲しい物を神が持ってきてくれるように祈るのだ。
文字通り、盆と正月が一緒なのだ。

疎開先の田舎で、お盆の入りになると、
軒先で麦藁を燃やして迎え火を焚いたのが懐かしい。
そして、提灯を持ってお墓参り、
子供心に何か普段と違ったお盆の幾日かだった。
送り火を焚くと、ふっと普段の気持ちに戻る。
翻ってみて、自宅でそのような事はしたことが無い。
祖父母、父母から伝えられたいろんな風習を子に伝えてない。
盆暮れ正月、旗日、祝日、子供の誕生日(これは1,2回記憶がある)、
仕事にかまけて大事な事をして来なかったような気がする。

2/18
作夜半から花火の音が絶えない。
耳を引き裂けんばかりの轟音だ。
ま、お正月だから仕方ないだろう。

昨日からお客が馬鹿に増えた。
お正月にプノンペンからのお客が殺到するのだ。
小耳に挟んだら、
ホテル代が通常の2.5倍にはね上がるのだそうだ。

Sが常連の日本人の溜まり場はもう一軒有るが、
そこには連れて行ってくれない。
理由は、
「お前さんに紹介すると、有る事無い事HPに書き捲くるンでな」

だから、みんな聞いた話だが・・・
元株屋さん、今でも年に2000万円は儲けてる。
NGOの元老者でカンボジャの生き字引のような人もいる。
もう10年来此処に通ってきている人、
その人は10年前には8歳だった女の子をずっと可愛がって来た。
その子も今や18歳で結婚適齢期で、
複雑な心境なのだそうだ。
此処には親の言う事は絶対の風習が残っていて、
子は親の意思に従わなければならない。
昔の日本の子供を売る、と似たり寄ったりの風習が残っていて、
親の食い物にされかかっているらしいのだ。

ま、そんな人達が集まってくるらしいので、
いろいろお話を聞いて見たいものだが、会わせてくれない。
「俺の事なんかも書くんじゃねえよ」
と何回も釘を刺されるが奴はパソコン音痴なので心配無い。

続く

   



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