メコンに沿って(2)
チェンライの風物詩は黒髪を靡かせる女性バイカー
今回の旅は、
タイの北部、チェンライ、チェンサイ、チェンコーンからラオスに渡り、
ラオスをメコン伝いに縦断して、またタイの東北部に戻り、
タイを東から西へ縦断してバンコクへ、
ここで相棒は帰国、私は中国へ、大体こんな計画だ。
私が中国の帰りに立ち寄るのがチェンマイ。
チェンライ、チェンサイ、チェンコーン、ややこしくて仲々憶えられない。
チェンライ行き機中、意外なのは客の7、80%が白人、みんな旅行客のようだ。
上二枚の写真がバンコク、下二枚がチェンサイ、聊か様相が異なる。
空港からバスで市街へ、バスを降りてあたりに屯しているトゥクトゥクの運チャンに、
相棒のお目当ての奥さんが日本人と言うホテルを尋ねるが誰も判らない。
一人の運チャンが、あちこちの店を聞きまわって来た、判ったようだ。
今回の旅は、相棒が綿密な計画を立てて来ている。
豪放磊落な彼だが緻密な面も有る、
一ヶ月のスケジュール、利用交通手段、泊まる宿の目星、
費用等が綿密に書き込まれた計画表を持っている。
私は常に付いて行くだけだから、こんな楽な旅は無い、
と思った。
バンコクから飛行機で1時間20分、チェンライはタイ北部の中都市、
少数民族の村々や、タイ、ミャンマー、ラオスとの国境三角点、
ゴールデントライアングルへの観光基地だ、旅行社が立ち並んでいる。
まず目に付くのは、走っている車のきれいさ、どれもがピカピカに光っている、
更に目に付くのは格好の良い若い女性が颯爽と黒髪を靡かせるバイクの多さだ。
日本車の軽四駆車がレンタル出来る。
ここからなら首長族の村落も真近の筈、食指が動くが相棒は首を振らない。
「このへんの少数民族の女たちは汗臭いし垢まみれだぜ、そんなの見たってしょうがない」
彼は少数民族にそれほど興味は無いようだ。
彼との関わり合いでのもう一つのエピソードを思い出した。
若い頃に、二人で丹沢の水無川の沢登りを楽しんだ事が有る。
沢登りというのは、せせらぎを渡ったり、
大石小石を飛び越えたりして、川の源流を溯って行くのだが、
当然ながら、幾つかの滝に出っくわす。
水飛沫を浴びながらこの滝を上り詰めるのも、沢登の醍醐味の一つ、
当然ながら、スルリ満点ではあるが多少の危険も伴う。
だから、そんな場所には必ず巻道があしらえられている。
私が滝を登り出すと、彼は、
「お前、何でそんなところを登るんだ、ちゃんと道が有るじゃないか」
と巻道を登って行った。
どうもレンターカーも彼のお好みではないようだ。
「もし事故にでも遭ったら何人の人に迷惑が掛かる?」
要するに彼はまっとう人間なのだ。
リンタクが寄って来る、
「キレイナコイルヨ?」「カワイイオンナノコヨ?」
の声が掛かるが、それほどしつこくはない。
チェンライのナイトバザールは中国のようにゴミが散らばっていない、
物静かとも言えないが程よい喧騒、
生演奏を聞きながら近くのタイ美人をチラチラながめながらの生ビールも仲々捨てたものではない。
「食が旅の目的」
とまで言う相棒が屋台からいろいろ毛色の変わった焼物、煮物を仕入れて来る。
初めて食べる物も有るのだが、その名前を憶えていないのが口惜しい。
値段も驚くほど安い。
骨董品、民芸品、食べ物の露店が並んでいるが、
皆のんびり煙草を吹かしたり足を延ばしたりしている、
客の呼び込みの様なものは殆ど無い。
リンタクで近くのお寺を一つだけ観る。
なんとも煌びやかだ。
つづく