メコンに沿って(5)
ゴールデントライアングル、
7時に起きてテラスでトーストとコーヒー、白人の二人娘も何かぱくついている。
彼はとっくに出掛けているらしい。
巨大な扇風機は今にも頭の上に落ちてくのではないかと思うほど傾いてはいるが、
ゆったりと廻っているだけで涼しいくらいだ。
バス、といっても軽トラックの荷台に長椅子が二つ、
屋根は有るがガラス窓はなく自然の風が素通りする。
ソンテウと言うそのバスで15分もすると、
ゴールデントライアングル。
タイ、ラオスを隔てて来たメコン本流と、タイ、ミャンマー国境を流れた来たルアク川の合流点、
黄金の三角地帯と呼ばれたその昔の麻薬巣窟の面影は全くなく、
すっかり、観光地化されている。
広い範囲に渡り土産物屋が立ち並ぶ。
メコンの川岸にせり出した小さな小屋も多い。
ゴールデントライアングルを廻るボート屋だ。
30分300バーツでチャーターしたボートは、巾が1メートルも無い、
舳先が鋭角に尖り強力なヤマハエンジンが付いている。
救命具を付けて乗り込む、物凄いスピードでメコンを溯る。
川の中からミャンマー、ラオスを眺める。
切り立った川岸の上には藁葺きのバラックが木々の間に垣間見られる。
所々に、土手の上から階段が作られ、
川辺では上半身裸の女達が洗濯、男達は魚網を掬っている。
ミャンマー側は少しずつ観光地化が進んでいるらしく巨大な仏像が建設中、
ラオス側は緑一色に静まり返っている。
建設中の大きなホテルは中国資本、一寸、さかのぼると中国、シーサンパンナだ。
洪景とゴールデントライアングル間に定期観光船が竣航したと聞いていたが、
目下休業中、仲々思うようにはいかないらしい。
川岸には中国国旗を掲げた中型の船が何捜か停留している、
商工業的にはこのルートが中国、
タイ、ミャンマーを結ぶ動脈として定着しつつあるようだ。
ラオス側に粗末な船着場があり、
土の階段を登ったミグレーションで20バーツの入国料を払うとラオス特産物を売る売店、
売子の女性は如何にもおぼこ、ただ、笑顔を振りまいているだけで、口を出さない、
これで商売に成るのかとこっちが心配になる。
つづく