メコンに沿って(7)

チェンセーン王国の遺跡

朝型の相棒は昼寝に入った。
彼は朝の内に、チェンセーンは一回りしたようだ。
夜型の私、このままだと、何も見ないチェンセーンで終りそうだ。 
慌ててやや傾いてきたとは言え焼けるような日差しの中に出る。

 14世紀頃に中国との交易の中継点として栄えた
チェンセーン王国の遺跡が街外れに残っている。
如何にも廃虚の城跡、
中央の煉瓦の仏塔の四面に埋め込まれた仏像がかっての栄華の名残を幽かに止めている。 
穏やかな眼の豊満な女像、初めて目にするタイの古佛に眼を見張る。 


残念にも、半分の仏像は、殆ど顔の見分けが付かないほどに破壊され尽くされている。










まだ、4時だというのに、チェンセーン博物館の門は既に閉ざされた。


  
門の前の小さな店に腰を下ろすと、おばさんがラーメンを作ってくれた。



タイ風ラーメン、バミー、
片手でつまんだ中華緬をものの一分程茹でて、
淡白な味の熱いスープに入れる。
僅かの鳥肉と野菜をチョコンと載せた単純なものだが、これにはお世話になった。
というより、悲しいかな、タイ料理で私の口に合うのは、焼魚以外、これしかなかったのだ。
入れる具は様々だがスープの味は、
日本のオシンコ、韓国のキムチが各家庭で皆違うように、
店それぞれで特徴を出している。

埃を被ったウインドウの中に見つけたのは、貝、ビーズ、古銭を一面にあしらった腰飾り、
ビールの酔いも手伝って衝動買い、ドシリと重いので後が大変なのだが。

つづく