メコンに沿って(12)


静かな佇まいのルアンパバン



 

ルアンパバン空港も可愛いい。



何人かの人がさっきの旦那に頭を下げる。
ピカピカな大きな皮鞄を下げている、お偉さんなのだろう。

客待ちしている2台のタクシーと一台のトゥクトゥク、
そのトゥクトゥクを選び街まで、30バーツ。

乗り合わせた4、5人を、一人一人門前まで送り届ける。
通りを一寸外れると、車は大海の小船の様に凄まじく揺れる。
地図にあるインフォーメーションの場所で降ろしてもらう。

ところが、インフォーメーションらしきものは無い。
たまたま、隣に有ったレストランでビール、街の中心にしては静かだ。
時折、格好の良い足を投げ出した娘さんがオートバイで横切る。
目の前には学校の運動場のような広場、
その一方の側に、少数民族の露店が一列に並んでいる。





疎らな客の殆どは白人だ。

隣は真新しいホテル、
一晩20$を、三晩40$、TC払いに交渉して投宿。
冷蔵庫、温水シャワー、AC付き。
ここも中国系の経営、隣のレストランも一緒らしい。 
ルアンバパンのど真ん中の一等地に店を構えている。
やっと、$のTCが使え、お釣も$で貰えた。 

ルアンパバンに行ったら必ず、
と言われているプーシーの丘に登る。
登り口に関門が有って、500キップ取られる。
息を弾んで登った頂上で、
幾人かの白人に交じってメコンに沈む夕日を眺める。
眼下には静まり返ったルアンパバンの街が一望出来る。





宿に戻って、ヌードル食べて、横になる。
相棒の居る筈のホテルに電話したが出掛けているらしい。
まだ宵の口なのに、一旦、横になったら起き上がれなくなった。
ACが煩いのが皮肉だ。


ゲテモノ酒

ゆっくり寝たお陰で体調も戻ったようだ。
隣の西洋風レストランでトーストとコーヒー。
100メートルも無いところの朝市をブラつく。
食物の種類の多さに目を見張る。
トマト、青野菜、タケノコ、豆類、蜜柑、バナナ、パパイヤ、椰子の実、マンゴ、
あと名前の判らない野菜、果物が、
今採れたばかりに輝いて、ズラリと並べられている。





少なくとも、食べ物には困らなかったであろうラオスの人々の生活が窺える。
同じような自然環境にあっても、
戦争に巻き込まれた国、そうでない国とで、国力に差が付いたのだろう。
市場を行き当たるとメコンに出る、
朝の心地よい川風を体全体に浴びて川岸を散歩する。





高い椰子の木に攀じ登った男が椰子の実を放り投げる。
川岸に並んだボート屋の男が声を掛けて来る。

目の前でボートツアーの交渉をしているらしい髭面と目が合った、
紛れも無い相棒だ。
「午後の船を予約した、お前さんもどうだ?」
「止めとく」
どうも、舟は苦手だ。

「昨夜、見付けたんだが、その先に面白い酒がある」
と相棒が先に立った。
万屋のような店先に、いっぱいの瓶が並んでいる、
ガラス瓶に交じりプラスチックボトルもある。
その一つ一つには、蛇、蛙、百足、?など様々なゲテモノや薬草らしい植物が入っている。

「お前さんも、やってみるか? 元気でるぜ!」
と言われ、試してみる気になった。
薬草の匂いがして、強い強い、50度以上は有るだろう。
やはり、私は日本酒の方が良い。
そう言えば、彼は、日本でもあまり日本酒を飲まない。

真っ赤になった彼は、
「そこにも面白い物が有るぜ」
とまた先に立つ、名前を忘れたが、孵卵途中の卵だ。 
殻の割れ目から既に形の出来た鶏の胎児が覗いている。
「食ってみるか?」
流石にこれには手、口が出ない。 
最高に美味しいこのあたりの名物だそうだが...

「俺は朝から釣りをして、散歩して疲れたから、宿で一休みする。
夕方一緒に飯でも食おう」
と帰って行った。

つづく