ウオーターマーケット。

朝7時、迎えに来た案内の若者が、
「ポーンです、よろしく」
タイ人と言うと、皆、動作が緩慢な印象を持っていたが、
ポーンは敏捷でいかにも聡明そうな感じの青年だ。

雑踏のバンコクから郊外へ出て一時間半も走るとバスが止まる。
もう着いたのかと思ったら、ココナツの木陰の中の売店、

 

一回りしてバスの近くに戻ると、ポーンが手招きする。
「これ食べてみな、美味しいぞ」
見ると、ココナツの丸焼きだ。

 

親父が大きな包丁で、器用にココナツの上に穴を開ける。
お腹の心配をしながら飲む、爽やかで美味しい。
5バーツ、払おうとするとポーンが、
「いいよ」
とニコニコしている。

またバスで5分もすると狭い運河に、
先端が刃物のように切り立ったボート、



「さあ、乗った、乗った」
ポーンに急かされてボートに乗り込む。



ボートはゆっくりと進むと広い運河に出た。





と、猛烈なスピードで波を切り出した。



両岸には、岸辺ぎりぎりまでせり出した民家がびっしり並んでいる。
ボートの作る波がザブンザブンと民家の軒先に届く。

 

ボートに乗っている我々は爽快この上ないが、
この騒音を毎日聞いている住人は堪らないだろう。

何回か曲がって小運河の船着場に横付け、





「二時間、自由行動です」
別天地に来たようだ。





物売り船と観光客の船でごった返している。



 

 

小母さん達が器用に船を操る。
そんな喧騒の中にしっとりした旅情を感じる。

船の上は涼しかったが、岡の上では汗が止まらない。
ビールが美味い。
直ぐ真下を船がぶつかり合いながら往来する。

 

観光客は圧倒的に白人が多い。
プンプンとふりこぼれるエチゾチックを求めてやって来るのだろう。

250バーツのツアー料には余りある満足だ。

見渡す限りの水田地帯を右折れ左折れする。
多分、近道か、或いは、渋滞を避けた道なのだろう、
思ったよりも早くバンコクだ。


宿に戻って一休みしてロビーに降りると何やら賑やかだ。
飾り付けをしたり、ドギツイお化粧、仮装に近い。



聞いてみると、
「今日はハロウイン」

通りに出ると人だかりが出来ている。
覗いてみると血に染まって倒れている男女、



「事故でも有ったのかな?」
それにしては、周囲の人垣は笑顔ばかりだ。
やっと気がついた。
ハロウインは、仮装とイタズラの日?、
お化けもどきに仮装した男女、身動きしない女、







日が落ちると、通りは人で蒸し返る。













確か、ハロウインは欧米のお祭りの筈、
タイでへもこんなお祭りが移ってきたらしい、
それともカオサンは白人が多いせいだろうか。

続く

 

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