アンコールワット記11
Preah Khan

「聖なる剣」を意味するこの寺院はアンコール王朝の全盛時、
チャバとの戦いに勝った戦勝記念として建立された。
西門を目指す参道の両側にリンガを模した石柱が並ぶ。
その一つ一つに繊細な浮き彫り。



そのまま進むと阿修羅の居並ぶ石畳、
阿修羅の首は殆ど削ぎ落とされている。
この寺院を建立し仏教徒のたジャーヴァルマン7世は、
伝統的なヒンドゥ経との融和を図ったのだが、
その後の宗教闘争で仏教色のあるものはヒンドゥ教徒により破壊され尽くされた。
我々、無関心神論者にはとても考えられない。
それが現在までも延々と尾を引いているのだから、凄まじい。





何はさて置きデバターに見とれる。
表情が豊かだ。





これは門衛だろうか。
見事に首を断ち切られている。





それに引きかえデバターは温和そのものだ。







碑文によると、
往時、この寺院には10万人もの人々が住んでいたそうだ。
舞姫も1000人とか、
煌びやかな生活が営まれていたのだ。





寺院の隅々まで装飾がほどかされている。







寺院の中央に安置されたストーヴァ、
その傍らでお喋りをしている老尼、
話し掛けたが全く通じない。







ふと、鴨居に眼をやると緻密な浮き彫り、
それが随所に見られるのだ。





ここも自然の猛威が襲い掛かる。





この場面をどう表現したらよいだろう。
スポアンも生きている。
生きんが為には僅かな割れ目も見逃せないのだ。



デバターとめくら窓を配した見事な構図、
左上の削り取られた跡は仏像だろうか。



鴨居の輪舞、我が世の隆盛を謳歌しているのだろう。





二階建ての建造物、円柱が珍しい。
二階への階段が無いこの建物、どんな目的だったのか。







この寺院は見所が多い。
アンコールの文化、歴史、宗教に造詣があり興味の或る人にとっては、
何回訪れても見飽きない所ではないだろうか。



崩れかかる建造物に比して樹木の若々しさ。



再度、首の無い阿修羅の石橋を渡り帰路に着く。

続く