アンコールワット記14
カンボジャの田舎道

バンテアイ・スレイからの帰り道、
「カントリーサイドを見るか」
とカムヒヤ君がバイクを止める。
街道に面した民家を覗き歩く。

 

 

森閑とした村落の中にもそれぞれの動きがある。
ゆったりとした動きだ。



 

時折、
無心に戯れる子供達の歓声が森の中に吸い込まれて行く。
タイは子供が多い、それも幼児。
3,4人の子供が纏わり付いている母親を良く見掛ける。
子供は埃にまみれているようだが、
通りすがりに、子供を洗う母親の姿を何度も見る。
男の幼児は素っ裸だが女の幼児は下半身を何がしかで覆っているのもお国柄か。

 

 



この小母さん、サトウキビの飴を
「買わないか」
と差し出したが、手を横に振ると、
幼児を抱き上げ近付いて来た。
飴を売るよりも自慢の孫を見せたいのだ。

 




「もう一つ廻ろう」
とカムヒヤ君のバイクが横道に入る。
寺院の名前は失念したが、
多分由緒ある寺院だろう。
客は私一人、物音一つ無い。

 



と、歌声が響きだした。
 ぽつんぽつんと居る保安員の女の子が掛け合いで唄いだした。
一人が唄い一人が拍子をとる。
余りの退屈さを凌ぎだしたのだろう。



 

静まり返った寺院の窓から窓へ女の子達の歌声が通り抜ける。
良い気分だ。



この像も立派なものだ。
この寺院にはデバターは見られないが、
浮き彫り、立像、特に連子窓に魅せられる。

 



この窓の中にある棒は何て言うのだろう。
連子と言うのだろうか。
この寺院の中でも場所によってデザインが違う。

 

こんな寺院が訪れる人も無くアンコール平原の彼方此方に転がっているのだ。

続く