アンコールワット記8
Banteay Kdei

タ・プローム四面佛門を出ると広場の向こうに売店が並ぶ。
その中の一軒から弟君が手を挙げる。



席に着く間もなく女の子達が寄ってくる。
あどけない顔で腕輪、仏像、本、次々に取り出す。



向かいの席の白人、子どもの扱いが上手だ。
子ども達が白人とじゃれ出した。
じゃれ疲れた子どもがまた私によって来て品物を目の前に差し出す。



ふと、アンコールワット関係の本を一冊買おうという気になった。
あの程度の本だと、日本で買うと1000円、
三分の一として3$、頭の中で計算する。
「よし、おじさんにその本頂戴、3$なら買うよ」
と言うと女の子は顔を崩して、
「OK」
後で聞いたら1$が相場とか、
海賊版とまでは気が廻らなかった。

一人の女の子がパイナップル?ナツメ椰子?を器用に剥き出した。
暫く、その手捌きに見とれる。




ゆっくり休んで次はパンテアイ・クレイ。
鬱蒼とした参堂を抜けると、



つっかえ棒だらけの僧院のテラスに半裸の白人達、
疲れ切っているようでもあるが、首の動きは止まっていない。







ヒンドゥ様式と仏教様式が混交していると言われるが、
何処がどの様に改造されたのか皆目判らない。

此処のデバターも見応えがある。







一つのデバターの胸の真ん中の大きな穴があいている。
眼を凝らすと同じような穴が彼方此方にある。
完成時には上塗り加工などで塞がれた建築途上に使用した穴が、
風化等により姿を現したのだろうか。
いかにも痛々しい。

剣川・石鐘山石窟にある白族の女神と崇められる女仏像の胸元にも大きな穴が有った。
何か関係有るのだろうか。





アンコールワットの至る所で見られるリンガ(男根)の台座が此処でも辺りを払っている。
世界創造のシヴァ神を表したものだそうだ。





ナーガ(蛇神)の欄干でじっと読み耽る少女、
この神殿の謂れを紐解いてるに違いない。
アンコールワットやアンコールトムのバイヨンでは
日本人の姿を見飽きるほど見たが、
この辺りで見掛けるのは白人ばかりだ。
日本人の観光ルートから外れているのだろう。



首を垂直に持ち上げたナーガ、
きっと毒蛇だろうが、
宇宙世界を支えているのがナーガなのだそうだ。

続く