アンコールワット記9
Pre Rup
ここのデバターも素晴らしい。
上品で清楚だ。
今回、最も気に入ったデバターの一つだ。
額の真ん中の傷はどうしたのだろう。
自然の傷にしては鋭利過ぎる。
此処はアンコールワットやアンコールトムより一世代前の建造物、
心なしか、柱、窓、デバターの造作などが異なるように思える。
これがこの寺院の名前に由来する石棺だ。
石棺と聞かなければ石棺とは思えない。
この中で死者を荼毘に付し、
その灰の上に死者を形どった線と死体の線を描く儀式が行われ、
その儀式をプレ・ループと呼んだのだそうだ。
ピンクの花をつける雑草にその面影は無い。
足だけの像に思わず立ち止まる。
後世に破壊されたのだろう。
庭の彼方此方に無惨に転がっている像、
100年もの間放置されてきたのだ。
風化した石に雑草が良く似合う。
此処の窓は他の寺院と趣が異なる。
それぞれの遺跡の窓だけを追求しても面白い。
この左側が「開かずの扉」、人の出入りを拒んでいる。
きっと、神聖な場所なのだろう。
続く
前 次