博物館
9日もバンコクに滞在してカオサンと買物だけでは旅人の名が廃る。
重い腰を叩き、
「エイッ!」
と気合を入れて立ち上がる、歩いて行ける距離の博物館へ。
道路が複雑に交差していて一寸わかりずらいのは兎も角、大通りを横切るのが大変だ。
片側五車線もある広い道路は猛烈なスピードで走る車、バイクが絶えない。
命懸けだ。
博物館は大変な規模、何処でも王様、皇帝の資力は凄い。
ゆっくり観たら一日掛けても見尽くせない。
時代毎のタイの歴史が要領よく整理されている。
タイの歴史も面白そうだ。
いつかウボンでみた岩画の模写、他にも似たようなものが何個所かある、
何時か行ってみたいものだ。
大きな山車の様なものと山車の様な船、歴代の王様の乗り物だ。
やはり仏像が圧巻、時代毎に顔かたちが変わって来る。
くっきりと体の線を出ししなをつくる仏像は妙に艶めかしい。
残念ながら館内は撮影禁止。
織物、陶器、漆器、楽器の種類も豊富だ。
タイ衣裳の男女の踊りに出っくわす。
仮面を被った男性の勇壮な踊りに対し女性の踊りは指先まで神経の行き届き、繊細だ。
見学者は白人、日本人が多い。
刺青の若い男と女が並んで仏像を模写している、
仏像もさる事ながら真剣な面持ちの男女に暫く見取れる。
昨日時計を交換したお兄ちゃん推薦の宮殿に行ってみようとトクトクを拾う。
カタコトの英語で、
「今日は宮殿開いてないヨ、こっちなら看れるヨ、
此所と此所、素晴らしヨ、二時間あれば行ってこれるヨ」
と時計を指差す。 仕方ないので、予定変更。
「あと、良い店が有るので案内するよ、金とシルク安いヨ」
「そっちは要らない」
と断ると、
「5分でいいよ」
としつこい、
「まあ話の種に」
とトクトクに乗る、大通り、繁華街、裏通り、みな同じ物凄いスピードで飛ばす。
これも命懸けだ。
真新しい金色の大きな仏像、2、30mは有るだろうか、
もう一つ大きなお寺、どちらもキンキラで戴けない。
やはり何時かのラオスやカンボジャの崩れかかった寺院が性に合う。
一見、倉庫な様な二階建ての建物、
中に入ると絨毯が敷き詰められて宝石、骨董品、絹が奇麗に並んでいる。
大きな宝石、絹の店だ。参考にと少し居座る。
象が繋がった金細工腕輪に食指が動く、
「12000bだけど今日は特売デー、10000bでいいです」
流暢な日本語の店員が離れない。
絹布1ヤードで400b、ネクタイ400b。
ジム.トンプソンに比べるとひとまわり安いようだ。
妖しげなので、ひとまわり冷やかして退散。
トクトクの運ちゃん、聊か不満気、彼の目的は此所なのだ。
つづく
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